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結婚式の様式について

●明治以前の日本
婚席に神々が臨在するという考えは中世の床飾りから見られ、江戸中期の貞丈雑記に明文化された。新郎の自宅に身内の者が集まり、高砂の尉と姥の掛け軸を床の間に掛け、鶴亀の置物を飾った島台を置き、その前で盃事をして結婚式をする、いわゆる祝言が行われた。家の床の間は神様が居る神聖な場所で、掛け軸や島台も神さまの拠り所でもある。

●遊郭での擬似結婚
吉原遊郭で遊女と馴染みの客が熊野神社(熊野三山)の熊野誓紙(牛王宝印)3枚に2人の結婚を誓う旨を記載し1枚を神社に収めるという擬似的結婚がなされた。

●神前
この方式の発祥は1900年5月10日の大正天皇のご婚礼で、この模様が全国に伝わり現在の方式が確定した。
具体的な式順としては巫女の先導で新郎新婦、媒酌人、新郎両親、新婦両親、新郎親族、新婦親族の順に入場し、最後に斎主が入場。巫女が式の始まりを宣言、斎主の拝礼に合わせ一堂が起立して神前に礼。禊を行う為、斎主が幣を振って穢れを祓う。一堂は起立したまま軽く頭を下げ、これを受ける。斎主が神前で二人の結婚を神に報告し、神の加護を願う。一堂は起立して頭を下げる。三々九度の杯を交わす。新郎が一の杯を受け、次に新婦がその杯を飲み干す。二の杯は新婦から新郎の順、三の杯は新郎から新婦の順で、どの杯も必ず三口で飲み干す。新郎新婦が神前に進み出て誓いの言葉を読み上げる。新郎が本文を読み、自分の名前の部分は新婦が読む。玉串を神前に捧げ「二拝二柏手一拝」の順で拝礼し、席に下がるときはお互いに背を向けないように内回りで体の向きを変える。新郎新婦に続いて媒酌人、親族代表が玉串を捧げる。両家が親族となった誓いを交わす。両家の親族、新郎新婦、媒酌人が杯を戴く。斎主が式を無事終わらせたことを神に報告し、一拝。一堂は起立して拝礼。その後斎主が祝いの挨拶をし、一堂で拝礼。斎主退場の後、新郎新婦、媒酌人、親族の順に退場。日本の結婚式は神前が1990年代まで最も多く、式の後披露宴に移る。

●仏前
仏に結婚を誓う様式。仏教関係者以外あまり見られない。

●キリスト教
キリスト教の結婚式は、キリスト教徒が神と証人の前で結婚の約束の永遠性を誓うというのが本来の意味である。そのため宗派によっては信徒でなければ結婚式があげられないところや、一定期間教会での結婚講座などに参加した者でないと結婚式をあげさせないところもある。
日本では、キリスト教徒は非常に少数であるにもかかわらず、キリスト教式の挙式を望む者が非常に多い。神前式に比べて華やかでおしゃれ、費用も比較的安く済むということがその理由であり、キリスト教式の式を望む二人のどちらもキリスト教徒ではない場合も多い。このようなニーズを受けて、ホテルなどの結婚式場の方では「キリスト教式」というプランが準備されていることが多い。しかしながら、カトリックとプロテスタントなどの違いを知らずに混乱していることが多いことや、司式する「牧師」が本当の牧師でなくアルバイトの人間であることが多い事実が指摘されている。カトリックの場合は結婚式は基本的にホテルや式場ではなく、教会や聖堂でしか行わなず、教会の記録に司式者名も残されるため、偽者の司祭(助祭)が司式するということはまずありえない。
進行は、主に先に新郎が入場し、新婦がエスコートする者(通常は実父)と共に入場。バージンロードといわれる通路を進み、エスコートする者が新郎に新婦を引き渡す。以下順序等の違いはあるが、賛美歌(聖歌)、聖書の朗読、神の前での誓い、それに対する祝福、結婚誓約書・婚姻簿への記入、指輪の交換、ディスカバリー(場合によっては直後に誓いのキス)、などが行われる。
ブーケトス、ライスシャワー、フラワーシャワー等がキリスト式の結婚式の際に行われることもあるが、これらはヨーロッパなどのさまざまな習慣が取り入れられたもので、本来、キリスト教の結婚式にとって本質的なものでないとされている。

●人前
現在は一般的ではないが、少し昔の日本の結婚式は自宅に親戚縁者を招いて行う人前結婚式がほとんどだった。教会や神前での結婚式のように神仏に結婚を誓うのではなく、両親やその他の親族、親しい友人などの前で結婚を誓うのが現在の人前式と呼ばれる挙式スタイルで、ホテルや結婚式場などで対応している場所も多い。近年、他宗派での挙式を禁じている宗教信者による人前式が多くみられる。挙式の進行は自由で決まったものはないが、立会人(披露宴の中で行う場合はその列席者等)による結婚の承認が行われるのが特徴。