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「敬老粗品」これってホメことば?

NHKの言葉おじさんの出ている番組、この番組の中で、言葉おじさんのコーナーはほんのわずかな時間だが、変わりゆく日本語に関心のあるわたしには興味深い内容で、この日のお題は「敬老粗品」だった。
このコーナーは、視聴者からのハガキ(等の言葉に関するご意見)をもとに進められるもので、この日は、敬老の日にもらった粗品に記してあった「敬老粗品」というひと言に疑問を持ったという意見が取り上げられていた。
言われて見まで気がつかなかったが、このひと言は確かにヘンだ。なぜって、「敬老」は敬う言葉で「粗品」は粗末な品物ということだから。

これは、贈った側からすれば「敬老の日の記念の品」という意味だったのだろうけれど、贈られた側にしてみると、敬われてるんだか粗末に扱われてるんだか…と、ならなくもない、というお話。
番組でも言われていたが、こんな場合は、へんに謙って「粗品」にしたりせずにその意味のまま「敬老記念品」とすればよかったのではないかと思う。

街中で「豪華粗品進呈」や「ステキな粗品をプレゼント」などもよく耳にするという意見もあったが、こういう表現もおかしい、とのことだった。なにげなく使っている言葉だけに、言われてみて初めてハッと気がつくということも少なくないが、そう言われてみると確かに、前者は「豪華だけど粗末な品物なの?」と疑問に思うし、後者にしても「ステキなのなら何も粗品と言わなくてもいいんじゃないか」と思わなくもない。ただ、「粗品だけど、ステキなプレゼントですよ」という意味なのだろうなぁと、なんとなく理解はできるが。
こうした間違った敬語の使い方について番組では、「プレゼント」を「粗品」に置き換えてしまうところに問題があるという見解を示していた。

ほかにも、「粗茶でございますが」「お口汚しに」「ご笑納ください」や、「愚妻」「愚息」など、謙った言い方はたくさんある。謙りすぎると嫌みなだけだが、謙った言い方そのものは日本語の“美”の部分でもあると思うから、こうした言い方までも直してしまう必要はないような気がする。ただ、話す相手によっては、「あなたに似合うと思ったから」や「おいしかったので是非」、あるいは「妻が」「息子が」といった言い方でもいいのではないかとの向きもあるようで、そうした言い方のほうが良いと感じることも多々ある。…たしかに、今の時代、いくら人前だからといって、夫から自分のことを「愚妻」と紹介されて気分のいいの妻も少ないのではないかとも思う。

まとめとしては、「粗品」は「粗末な品物」という意味ではあるけれども、謙遜して相手に気を使わせないために使うのではないか、ということだった。字から見て取れる言葉の意味も、ときの流れとともに少しずつ変化してきているのかもしれない。



言葉おじさんとアナウンサーズが歌う“みんなのうた”の「これってホメことば?」